夜のベランダから

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初マラソンに向けて:いかに楽してトレーニングするかを考える

1.はじめに

 市民マラソンに応募した。

 実はこのマラソン、去年も応募して当選していたのだが、本番1ケ月前に足を捻挫して歩くのも大変だったので、結局走らなかった。

 よくよく振り返ってみれば、生まれてこのかた10kmより長い距離を走ったことはない。そして、今も運動をしていない。1ケ月に1時間運動していたら良い方である。マラソンに当選するしないは別にしても、あまりに運動していなさすぎである。最近少し顔に肉が付いてきた気もする。これを機に定期的に運動する習慣を整えていければいい。

 さて、フルマラソンを走るとなると、トレーニングのやり方を考えなければならない。当然、やみくもに走ればいいってもんじゃない。時間もやる気も有限である。効率良くトレーニングしなければならない。

 こちとら中高保健体育科の教員免許を持っているのだ。頭を使ってやろう。

2.現状の把握

 まず、自分の実力を確認せねばならない。マラソンの距離を走るペースとしては、主観的運動強度(RPE)13あたりがもっとも理想といわれている。いわゆるスロージョグと呼ばれる、自分にとって「このペースならずっと走り続けることがぎりぎりできるスピード」だと思ってもらえばいい。

 で、とりあえず6km走ってみた。計測はiphoneアプリの「Runtastic」を用いた。

Runtastic ランニング&ウォーキング

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結果

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 ご覧のとおり、だいたい5.5(min/km)あたりだ。フルマラソンのタイムとしては、できれば4時間を切りたいので、そうなればだいたい5(min/km)のスピードを目指さなければならない。ということは、今のタイムを縮めていくためのトレーニングが必要となる。

3.(なるべく楽そうな)トレーニング方法を考える

 ということで、必要そうな情報を揃える。ランニングパフォーマンスに関わる要素は、以下の3つといわれている。

  • 乳酸性作業閾値(LT)
  • 最大酸素摂取量
  • ランニングエコノミー
乳酸性作業閾値

 走る、という行為は筋肉の伸縮によって行われる。そして、筋肉は速筋と遅筋に分類され、それぞれで使用する成分が異なる。速筋で糖を使ってエネルギーを作り出すと、結果として乳酸が生まれる。この乳酸は遅筋に取り組むことによって、酸素と脂肪と合わせてさらにエネルギーを作り出すことが出来る。運動強度が一定以下であれば、乳酸を遅筋が取り込み切ることができるため、血中の乳酸が増加することはない。しかし、運動強度が高くなると、速筋の動きがさらに活発になり、乳酸の生成が増加し、遅筋が取り込んで使用しきれずに、乳酸が溜まることになる。

 この乳酸濃度の値が上がらないで運動できる強度を、乳酸性作業閾値(LT)と呼ぶ。乳酸性作業閾値が高まれば、速いスピードでも乳酸を遅筋に取り込んでエネルギーにできることになるということだ。

 これについての効果的なトレーニングが、スロージョグである。LSD(Long Slow Distance)と呼ばれるようなゆっくりとしたペースで長い距離を走り、遅筋を使い続けることで、遅筋を疲弊させ、それをフォローするように速筋が動員される。これを続けることで、速筋が遅筋化する。こうすることで、乳酸性作業閾値を効率的に高めることが出来る。

最大酸素摂取量

 最大酸素摂取量とは、肺に取り込まれた空気の中から酸素をどれだけ筋肉など体内の組織に送り届けて使うことが出来るかという指標である。筋肉単位でいえば、呼吸の能力ではなく、筋肉が酸素を受け取って使う能力とでもいえるだろうか。最大酸素摂取量が多ければ、筋肉で多くの酸素が使用できるということであり、多くの遅筋で脂肪と乳酸と合わせエネルギーを作り出すことが出来ているということになる。

 これについては、前述したスロージョグもある程度有効だが、今回はより効率的なインターバル走を導入する。スロージョグが時間をつかうことに着眼したトレーニングとすれば、インターバル走は、強度に着眼したトレーニングである。具体的にいえば、400mダッシュし、400m歩く、また400mダッシュ…ということを繰り返す。慣れてきたなら、距離を延ばしたり、本数を増やしていくことになる。あんまり時間をかけずにできるので、こういうのもありだろう。

ランニングエコノミー

 最後にランニングエコノミー。これは、ランニングの経済性、つまり燃費に関わることで、具体的に言えば、ランニングフォームである。全身の筋肉を走るという目的に向かって、効率的に動かすことができているか、ということである。

 例として、脚の動作に注目してみよう。脚の動作で注目すべき点は2つ。ひとつは、下腿の腱の弾性であり、もうひとつは、大腿の筋である。下腿の腱は、なわとびのような「跳ねる」動作を可能とし、走る際の推進力となる。走りに推進力を与える大腿の主な筋肉として、大腿四頭筋(太ももの前側)、ハムストリングス(太ももの裏側)、大臀筋(お尻の筋肉)が挙げられる。この3つの筋肉をバランスよく用いることで、効率的に疲労を軽くして走る。つまり、これらの筋肉のいずれかにのみ負担が集中することは、結果的にパフォーマンスが落ちることに繋がるのである。

 これらの筋肉が、効率的に、調和的に使用することができているか、ランニングの際に意識的にフォームチェックを行う必要がある。

筋力

 とまあ、それっぽく語ってきたが、正直現時点では長い距離を走るだけの筋力が単純に足りていない。とくに脚回りの筋肉が全然足りていない。走り終わった後攣りそうになってしまう。

 走ってちゃんと肉を食べていれば、勝手に筋力はついてくるだろうが、ある程度は筋力トレーニングは必要だろう。とはいっても時間はかからない方が良いので、これは適度に。

4.楽しく走るために

 普通に走っているだけだと絶対飽きる(景色も変わらないし、誰かと話しながら走るわけでもないし...)ので、走っている最中に何か気を紛らわすものが必要だ(真面目に走れ)

  • まずランニングコース。毎回いろいろコースを変えてみよう。春の時期川沿いを走ると羽虫が目に口に飛び込んできてなんとも走りづらい。というか走りたくない。スポーツグラスやマスクをつけて対応してもいいが、見た目は不審者である。
  • 次にランニングアプリ。1km通過何分ですよーとか言ってくれるやつがいい。「Ranstastic」の設定をいじって、1kmごとに時間を通知してくれるようにした。
  • 最後にランニングの時に聞く曲。よく「160BPMくらいの曲が良い」なんて聞くが、そんなので曲を決めててもつまらない。だからといって、プレイリストを作っても毎回聴いてても飽きる。毎度プレイリストを入れ替えるのも面倒くさい。そういえば「本しゃぶり」さんが、Siriを使ってKindleの読み聞かせ機能を使いながら筋トレしていたな。

honeshabri.hatenablog.com

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 これを使って青空文庫でも聴きながら走ってみたらどうだろうか。kindleにダウンロードしたはいいものの、まだ読んでいない本が結構溜まっているのだ。他にも、落語とかも良いかもしれない。

 以上、「楽して」「効率的に」トレーニングを行うための計画を立てた。あとはやる気があるときになるべく走るのみである。